2020年3月19日木曜日

こけし

《備後屋》は、3月21日(土)から 3月23日(月)まで、三連休となります。
どうぞよろしくお願いいたします。

Temporary closed  2020/3/21(Sat) ~ 2020/3/23(Mon)

《備後屋》の地下郷土玩具売場の”こけし”コーナーの棚が久しぶりにこけしさん達でいっぱいになっています。

コロナウィルス騒動のせいで、残念ながら今年は3.11の東日本大震災関連の
イベントも報道も激減してしまいました。

東北で作られる”こけし”は、震災後復興の象徴として様々なメディアにも取り上げられるようになりました。
昭和初期の第一次こけしブーム、昭和30年代の第二次こけしブーム、
そして震災後の7〜8年前から第三次こけしブームが起こっています。
ここ数年は日本国内ばかりでなく、海外でも”こけし”は知名度が高くなり、
コレクターの方も多く、《備後屋》でも海外からのお客様が
まとめて何本も買われていきます。



 ヴィンテージの”こけし”も沢山入ってきました。

年代も大きさも型も様々。


 伝統こけしは、10または11系統に分けられます。



”こけし”の本も沢山出版されていますが、
今年1月にイラストレーターの佐々木一澄さんが出された「こけし図譜」は、
ただ東北の伝統こけしを紹介するだけではなく、こけしの作り手”工人さん”達の言葉やこけしに内包された物語が語られています。
この本には1枚も写真は無く、佐々木さんが描かれた沢山のイラストと文章だけで構成されています。
こけしそのものが持つ何かを訴えかけてくるような、
惹きつけられるような力がよく描かれています。
各地を巡って、それぞれの系統のこけしが生まれた温泉地の歴史や風土、そしてそれぞれの工人さんの人生と人柄が温かい目線で語られ感慨深くなります。

この本を読んで、沢山のことを知りました。

東北で生まれ作られる、こけし。
工人さん達もみんな東北で生まれ、代々こけしを作ってきた家族の元で育ち、
父や母、祖父母または親戚が作っていたこけしを作っています。
若い時は、こけし作りは嫌だと言って他の仕事を選んだ人もいます。
でも、やっぱりこけし作りが自分がやるべきことだと思い直して戻ってくるのです。

ある工人さんは言いました。
「祖父から、今日は大安だから、轆轤(ろくろ)に上がってみろと言われ
轆轤に上がりました。
21歳の12月26日。そんな風にして初めて轆轤に上がり、
こけし工人としての第一歩をスタートしたのです。」

轆轤に上がることは、神聖なことなのだなと知りました。

こけしは頭と胴だけで構成されていたってシンプルな人形で、独特の間を感じさせつことから、「こけしは俳句だ」とも言われます。その「間」には複雑な魅力が詰まり、間があるからこそ魅力がにじみ出ます。


何年か前に家内が死んじゃってから、あまりやる気も出ないし、作ってもいいこけしができない。きついなあという気持ちが強くてね。こけしは気持ちで作るものだからそのまま出ちゃってなんだか力がない。

木地はひき終わった後も乾燥して縮みます。それに木の内側と外側では硬さや重さも違い、乾燥の早さも異なるため、それを見誤るとぱっくりと割れてしまう事もあります。そういった木の性質を感じることも、工人の技術だということを作れば作るほど感じるようになりました。挽くことだけが技術ではないのです。

手も足もない、こんなシンプルなお人形に、工人さん達の人生が描かれているのです。

こけしについては、大先輩の方が沢山いらっしゃいますので、また来週にでもお話しさせてくださいね。




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