2023年4月7日金曜日

花吹雪と風通お召と透木釜

花吹雪舞う月曜日、風通お召しの着物と型染の帯で、お茶のお稽古に行って来ました。

母が「この着物お茶の時着たらいいんじゃない?」と古い箪笥から出して来た時は、
「えええっ、こんな真っ赤な胴裏の付いた着物着られんでしょ!」と再びお蔵入りにしそうになりましたが、袖を通してみると「意外とこれいいやん」。で、三日ほど陰干しをして、お稽古に着ていくことにしました。母がお嫁に来る前に仕立てたものなので70年も前の着物です。

”風通お召し”って何?
そもそも”お召し”も良くわからない。
”お召し”は”縮緬お召し”の略で、先練りの生糸を染色した糸で、繊維の束をねじる”撚り”を緯糸にかけて織り上げたもので、しぼが現れしゃり感のある手触りと紬よりも軽い着心地、柔らかな手触り、とのこと。
お召しとは染めと織りの中間のような着物だそうです。
言われてみると、まさしくこの着物の手触り・着心地は”お召し”の定義そのものです。

では、”風通お召し”とは?
表と裏に異なった色糸を使い、表と裏の文様が反対の配色になるよう二重組織で織ったお召し。この着物はバッチリ裏が付いているので、それは確認できないのでした〜


薔薇の模様が浮き出ていて、とても面白いデザインです。
今のデザイナー着物と言われたら信じてしまうくらいモダンな感じ。

このアイヌ文様風の型染の帯は、萌木会の会員だった方のもの。
もう50年くらい前に染められたもので、母もどなたの作品かはわからないと言っています。
萌木会とは、戦後に芹沢銈介先生のお弟子さん達が作った染織家集団です。会で材料を仕入れて皆にそれを配って、個人ではなく団体で染織品を販売する会でした。
柚木沙弥郎さんも会員だったので、その頃のことを2018年の日本民藝館の記念講演会でもお話されています。
備後屋でも長年萌木会から仕入れた染織品を沢山販売していました。


このアイヌ文様風の帯、見れば見るほど味わい深い帯です。
柳先生や芹沢先生はアイヌ民族の工芸文化を高く評価し、沢山の工芸品を蒐集し、1941年にはアイヌ工藝文化展も開きました。
近年でも、2020年に「アイヌの美しき手仕事」展が日本民藝館で開かれたり、ついこの間まで芹沢銈介美術館でアイヌの衣装展も開かれていたり、雑誌民藝でも特集が組まれたり、アイヌ工芸は静かなブームとなっています。


4月のお茶室のおしつらえは、八千代棚に、透木釜。
いつも写真撮るのを人任せにしてしまい、自分では撮らないので、お釜の写真がない!
すみません、この写真はネット上から勝手に拝借しました。

透木釜は4月頃、だんだん暖かくなり、お客様に炉の中の炭が見えないようにという心遣いから、大きな羽根の付いたお釜を用いるお手前です。
空気の通りを良くするために、お釜の羽根と炉の間に透木という小さな板をはさみます。
5月から風炉に変わる前の、この時期だけの美しくさりげない演出。
心に沁みます。

美しいお花とお菓子も春爛漫


あれこれとまとまりのない記事ですが、
最後は4月3日母の91歳お誕生日の写真で締めくくりたいと思います。
おめでとう、元気でいてくれてありがとう!


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